平安神宮を読む
令和7年11月08日
七代小川治兵衛が紡ぐ石と庭の調和
平安神宮神苑には、七代・小川治兵衛が選び抜いた多彩な石々が、静かなる景を形づくっております。なかでも縞模様が雅やかに浮かぶ「守山石」は、治兵衛が深く魅せられた石であり、その妙は、一景一景の中に見事に息づいております。
西神苑に据えられた三尊石は、仏教における三尊の姿を象徴するものと伝えられます。堂々たる中尊石とそれを支える脇侍石の構えは、三体の仏を思わせる調和と気韻を静かに漂わせています。
また、本殿裏にあるこちらの守山石はあたかも縞模様が水の流れと呼応しているかのようです。
中神苑から東神苑へと澄みわたる水脈に沿い、据えられた石々は時の移ろいをそのまま映しとるように佇みます。水と石が響き合い、神苑に深い静謐な美を湛えています。
東神苑の流れにも守山石が巧みに据えられ、その縞模様はせせらぎの音と調和し、清らかな景をいっそう際立たせています。
また、神苑に据えられた石の中には、窪みを残すものがあります。この窪みは「矢痕」と称し、かつて岩を割り出す際に打たれた痕跡と伝えられます。長い時を経てもなお残るその痕は、人の営みと自然の力が調和し、神苑に悠久の気配をもたらし続けています。
七代小川治兵衛が紡ぐ石と庭の調和。ここに治兵衛の目と手と心が、今も確かに息づいております。
皆様も石に注目し神苑を歩いてみてはどうでしょうか。
