神苑に息づく石燈籠の姿
景色を彩る正面の美
日本庭園には数多くの石造物があり、その一つひとつに作り手の意図や美意識が込められています。
そのため、多くの石造物には「正面」が存在し、見る角度によってその魅力がより際立つよう設計されています。
南神苑 石燈籠の姿
平安神宮神苑においても、写真①左下にございます石燈籠(とうろう)がその正面性を顕著に感じ取ることができる存在です。
その正面が東屋からよく映えるように据えられていることがわかります。
訪れる人が自然とその景色を楽しめるよう、計算された配置であるといえるでしょう。
石燈籠 覗き込んだ景色
燈籠の中心を成すのは「火袋(ひぶくろ)」と呼ばれる部分で、灯明をともすための主要部材です。
形状にはさまざまな種類がありますが、共通して「火口(ひぐち)」という窓が正面に向けて据えられています。
火袋や火口は単に照明としての役割を担うだけでなく、庭を訪れる人々の視線を導き、景観を引き立てる効果も果たしています。
中神苑 石燈籠の姿
中神苑には多重塔がございます。
塔には四方に火口が設けられております。写真③では草木により一部隠れておりますが、東屋(お茶店)から正面に美しく映えるように設置されており、また臥龍橋を渡られる方々を見守るかのように塔の一面は臥龍橋の方向を向いております。
東神苑 石燈籠の姿
雪見灯籠④は、神苑の中でもひときわ目を引く石造美の一つです。水辺に映える姿は風情豊かで、南神苑にも据えられています。
なかでも、東神苑にある大きな雪見灯籠は「孝明天皇百年祭」の折に奉納されたもので、庭園空間の要ともいえる存在です。
六角形の火袋には六つの火口が設けられ、格調高い造形美を誇ります。
特に正面は尚美館に向けて据えられており、尚美館からご覧いただくことで、この雪見灯籠の最も美しい姿に出会うことができます。
尚美館と雪見燈籠
東神苑の雪見燈籠は神苑で最も広大な栖鳳池を見守るように、一帯の景色を引き締めます。
織部燈籠の姿
神苑には2基の織部燈籠がございます。こちらの石灯籠は諸説ありますがキリシタン燈籠とも呼ばれております。
特に主張することなく静かに佇んでいるため、見つけにくい場所にございますが、ぜひご覧いただければと存じます。
