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1万坪を誇る平安神宮神苑で4分の1を占める池のなかにもさまざまな生き物の営む姿があります。魚や亀、特に失われつつあるタナゴや蜆(シジミ)が多く生息しているのです。
この池の水は琵琶湖疏水から引き込まれていて、琵琶湖の直系種である淡水魚や貝が入り込み、失われつつある琵琶湖の生態系がそのまま池に陸封されることとなりました。ニゴロブナ、タナゴ、モロコ、ヨシノボリなど12種類の生息が確認されていて、「ミニ琵琶湖」の異名をもつほど注目を集めています。

貴重な生き物が確認されている神苑の池で水棲生物の調査を進めているのですが、このほど大変珍しい亀が次々に発見され、おめでたい、吉兆のしるしとして大きな話題になっています。
黄金のすっぽんがいた!
その一つは、なんと黄金色に輝く鼈(すっぽん)です。以前から神苑の池にスッポンが非常に多く生息していることは知られていましたが、明らかに色が異なる個体が発見されたのです。
これは、突然変異の黄変種(色が薄く生まれてくること)でアルビノともいわれ、自然界では時々見られる現象ですが、スッポンのアルビノとは大変珍しく、しかも黄金に輝いて見えることもあって「これは吉兆!」と注目を集めることとなりました。
大発見 吉兆のあかし 蓑亀(みのがめ)
さらに、石亀の甲羅に藻が生え、蓑をかぶっているように見える「蓑亀」も発見されました。
蓑亀は緑藻亀(りょくそうがめ)ともいわれ、長い年月によほどの条件が整わないと甲羅に藻が生えることはなく、大変珍しい現象で、平安京の四方を守る神獣「四神」で北を守護する「玄武(げんぶ)」のもとになっているのがこの亀という話もあり、新しい芽吹きの源、おめでたいことの始まりの象徴とされてきたのです。
古くは「神亀」「宝亀」などの元号にも見られるように、珍しい亀が見つかると宮中へ献上され改元までされるほどの大きな慶事だったのです。
琉球産の 南石亀(ミナミイシガメ)
南石亀(ミナミイシガメ)は京都市が天然記念物に指定している特別な亀です。
その名のとおり、本来沖縄などの八重山諸島や中国南部などにしか生息しないと考えられていたのですが、現在までの調査で京都府南部(市内)にも生息が確認されています。
このかけ離れた分布状況の謎は解明されていませんが、一説には「その昔、中国大陸へ渡った使節(遣唐使など)から御所への献上品として京都にわたり、年月の経過とともに御苑で繁殖を遂げ、京都のごく一部の地域で生息しているのでは」という話もあります。
南石亀の特徴は、首筋に黄色い線状の模様があり、正面から見ると笑っているようにも見える愛嬌のある顔をしていることから、「おめでたい亀」として献上されたのでは?という想像も膨らみます。 生態はあまり解っていませんが、夜行性なのか日中に確認されることは少なく、見つけても大変すばしこくてすぐに池に潜ってしまいます。
異種混血 イシ・クサガメ
イシガメ、クサガメは体長20センチぐらいですが、2回りも大きい体長40センチをこえる不思議なカメが見つかりました。 色々調べてみたところ、日本固有種の石亀(イシガメ)と臭〔草〕亀(クサガメ)には特異な生態があることが解りました。この種類の違うカメの間で閉鎖された当宮の池のような場所では稀に異種交配を行うことがあるのです。 そして、驚くことにそこに生まれた異種混血種には両方の親の特徴があるばかりでなく、なぜか親の優れたところを受け継いで、明らかに親以上に大きく育つようなのです。

たなご 伝えたい日本の色
「ボテジャコ」の名前で昔から親しまれてきた「タナゴ」は、今や環境の変化でわたしたちの周囲から姿を消そうとしています。当宮の池のなかにはその名の通り大陸から渡ってきた「タイリクバラタナゴ」、日本産の「イチモンジタナゴ」が昔ながらの姿でたくさん生息しています。この雄が春から初夏にかけての産卵シーズンを迎えると雌を引きつけるために婚姻色を出しますが、大陸産と日本産ではこの色合いが微妙に違うのです。タイリクバラタナゴは一見熱帯魚のように鮮やかな色をしているのに対し、イチモンジタナゴは何とも淡く透明感のある、清楚な色を醸し出しています。はじめは鮮やかな方に目を奪われますが、時間が経つにつれこの淡い色に引き込まれてしまいます。
本当の「日本の色」を教えてくれているかのようで、「いてくれてありがとう」と言う気持ちで一杯にさせてくれます。この失われつつある色を子供たちに伝えたいものです。
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